Pacific Wellness Institute Clinic: Bloor-Yorkville Toronto

舌下静脈形態と色調の被験者内変動について

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 Within Subject Variability in Tongue Sublingual Vein Morphology and Color Characteristics

田中秀明

第62回日本東洋医学学術大会、2011年、札幌

 

[目的]

東洋医学の舌診において舌下静脈の観察は重要な一部分を占める。舌象は様々な外的、内的因子により影響を受けるが、舌下静脈については患者の舌の出しかたの微妙な違いによっても変化することを経験する。しかしながら舌裏の観察手順につき詳細を記した成書は見当たらない。そこで演者は、3通りの方法で舌裏の画像記録を行ってきた。今回、それらの画像をパラメータ毎に評価し舌下静脈の形態と色変化に関する検討を行ったので報告する。

[方法]

2010年3月より11月までの間に来院し、書面での同意が得られた142名を対象とした (男: 27 女: 115、 年齢: 39.1±9.6) 。各被験者へ解剖学的ランドマークを用いた口蓋図を示し、3通りの挙上角度(約30、45、80度)で、約5秒間の休息をはさみ3回連続で舌裏を露出させた。各ポジションは画像記録の為、なるべくリラックスした状態で約1秒間保持させた。機材はデジタルSLRにマクロレンズとツインフラッシュを装着し、同じ条件となるよう焦点距離(70mm)、絞り(F19)、色温度(5500K)等の設定は統一した。画像はPCに取り込み、モニター上において舌下静脈の長さ、太さ、蛇行(怒張、結節含む)および色調について「変化なし」、「やや変化あり」、および「顕著に変化した」の3段階で評価を行った。

[結果]

142名から得られた計426枚の画像精査において、舌下静脈の長さでは35例(24.6%)、太さは29名(20.4%)、蛇行は21名(14.8%)、および色調については24名(16.9%)において顕著な違いが見られた。舌下静脈の異常は挙上度が大きい場合に出現または強調される例、およびその逆の両パターンが認められた。

[考察]

舌下静脈の異常は、ときに肝機能障害、末梢循環不全、静脈内圧上昇等を示唆するとさる。東洋医学的には紫暗舌や瘀点よりも、より敏感に病態の変化を反映するとされ、いわゆる瘀血の診断に有用である。しかしながら、今回の検討では複数例において舌の挙上角度の違いによる舌下静脈の著明な変化が認められた。初診および経過観察の際には観察方法を統一することが重要であることが示唆され、検者間の信頼性を高めるうえでもスタンダードな手法の確立が求められる。

 

KEY WORDS: 舌診 舌下静脈 再現性

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